Mediboard導入事例

医療法人悠隆会様(宮崎県)



発注価格や購買状況を透明化。これからは「事務方にもう1歩進んでもらいたい」

医療法人悠隆会様は宮崎県延岡市を中心に、クリニックのみならず、介護老人保健施設や住宅型有料老人ホームなどを運営されている地域に寄り添った医療法人です。 本記事では、理事長へお話をお伺いしました。


医療法人悠隆会  田中英隆理事長

導入背景 支出管理の統一性がなく、収支総額のみ見えている状態だった

悠隆会様では、延岡市内の5施設でMediboardを導入されています。 導入以前は、決算などで医療材料や消耗品に関して収支総額は分かっているものの、発注に関わる業務が各事業所ごとに異なっているため本部側での管理が難しく、その結果経営レベルで見たときに医材や消耗品の収支の詳細がブラックボックス化していたそうです。 この点に強い課題感を感じていたという田中理事長へ、Mediboard導入の経緯をお伺いしました。

悠隆会 ナーシングハウスすこやか『なつだ』

田中理事長:
『私たち(医療・介護業界)は、自分たちで価格の設定ができないので収入部門を爆発的に増やすということが難しいのです。 それで支出の管理が重要だと考えてはいたのですが、そういった考えがありながらも、 仕入先と交渉したり、仕入先同士を比較したりしてリーズナブルな商品を買うなどは全くやっておらず、なんとなく買っているような旧態依然の状態でした。

もちろんみんなが必要な物を買っていることは理解していますが、中身を精査しようという人は誰もいなかったと思います。 医療に関わる物を買っている、患者さんに関わる物を買っているということは分かっていますが、その内訳が何なのかは誰も分かっていなかったですね。 ここの仕入れを削減出来ないかという話には、比較検討できるものがないのでなかなかできない。「例年通りですね」で終わってしまうのが普通でした。』

と話され、決算を行っても、他事業所に比べて特定の事業所の支出が突出して高いことや去年と比較して高いことが分かるのみの状態だったそうです。 そのため、本部が各事業所の発注内容や仕入価格、仕入先との関係を正確に把握し、事務体制を強化することが長らくの目標でした。

悠隆会様は、平成初期に他の医療機関に先駆けて電子カルテを導入するなど、長年にわたりデジタル化を積極的に推進してきました。 地元の金融機関から医療機関のバックオフィス業務のデジタル化ソリューションとしてMediboardを紹介されたことにより、 各事業所の購入内容(何を、どれくらい買っているか)を可視化できる点に魅力を感じ、導入を決定されました。

導入作業 稼働に悩みながらも発注価格や承認経路の見直しへ

Mediboard導入に際し、まずは業務フローや仕入商品の洗い出しから着手したのですが、コロナ禍も重なり現場が多忙をきわめていたこともあり、すんなりとはいきませんでした。

田中理事長:
『稼働が進まない時期があり、どうしたものかという時期もありました。 担当者に、どうして私がMediboardを導入したいのかという意義が十分に伝わっていなかったのも稼働が進みにくかった理由の1つだと思います。』
理事長自ら導入への思いを丁寧に説明したことで、法人全体でMediboardへの理解が進み、稼働に向けた動きが加速しました。 導入の意義や目的を伝えることも重要なことだったと振り返られました。


Mediboardの購買管理機能を導入するためには、商品マスタへの登録が必要です。各施設はこの商品マスタに登録されてる商品のみ購入可能であり、これにより法人単位での商品の集約、価格の統一が可能となります。 悠隆会様ではこれまで各施設で管理されていた仕入商品について、Mediboard導入を機に精査を実施したところ、同じ仕入先から購入している商品でも施設間で発注価格に差異があることが判明しました。

田中理事長:
『同一商品同一仕入先で、発注価格が施設別に異なることは驚きましたね。結果的に仕入先からの請求価格は同じだったかもしれないが、それもどうなのかと思います。 発注価格から仕入先内で統一すべきですし、(Mediboardで管理できるようになった今後は)そこに対してうちの事務方は疑問を持たないといけないと思います。』

悠隆会 西階クリニック


Mediboardではひとつの商品に対して、仕入先ごと、見積り時期ごとに何件でも価格情報を登録できます。それにより、同じ商品であっても仕入先ごとに価格に差があることも明確になりました。 仕入先から提示された金額を確認した上で購入するというコスト意識を高めるのはもちろんですが、仕入先への価格交渉の材料としてもご利用いただくことも可能です。

田中理事長:
『各施設が同一商品を別仕入先からそれぞれ購入するときに発注価格に差があることが分かったことも良かったです。 法人内でまだコスト部分について話は出来ていませんが、これから話をしていきたいと思っているところです。』
と、導入作業中の施設間や仕入先間での価格差が判明したことを特にご評価いただきました。

今後 これからに繋がる下地作りができた

稼働開始から数カ月。『今後は事務方にもう1歩進んでほしい』という期待感を強調されていました。
田中理事長:
『現場にコスト意識を持ってほしいという期待もありました。必要な物を買っているとしても(仕入先へ)電話してこれを持ってきてくださいで終わってしまうから、そこの意識を持つことも事務方として大切です。
地方ですので仕入先がたくさんあるというわけではありませんが、今回のように仕入価格を意識できるようになったことで、他法人の事務長や担当者と話をする際、”この仕入先良いですよ”といった情報交換までできるようになってほしいです。 Mediboardでそういう下地ができたのではないかと思っています。』

悠隆会様では現在、医療材料の購買管理機能に加えて、お伺い書機能も活用されています。 発注情報と同様に、稟議で承認された結果もデジタル化して蓄積する方針です。これにより、ペーパーレス化を実現するだけでなく、過去の稟議情報の検索を容易にし、紙の書類を探す手間もなくなることで、意思決定プロセスの迅速化と透明性の向上を期待されています。

田中理事長:
『定量的な効果はこれからでしょうが、そういう新しい何かができる下地ができ、全体像を見る事が出来るようになっただけでも効果として大きかったかと思います。 入と出は知っているが、何をどこから仕入れているのか、適正なのかは分からない。 いまは必要だから買っているということしか分かっていない。だからこれからですね。』

現場だけがどこから何を買っているか分かっている状態の改善や、コストへの意識の補完をMediboardで行うことで、法人としての支出管理の統一性を高めていこうとされています。

※所属・肩書きを含む本事例の内容は2023年10月時点のものです。


執筆担当 : 株式会社サザンウィッシュ 営業担当 坂元麻那