Mediboard導入事例

中部地区医師会様(沖縄県)

「事務方の給与や立場を上げるためにも」バックオフィスをペーパレス化。印刷量を8割削減。

中部地区医師会様は沖縄県9市町村を管内とし、会員数648名(241施設)を擁する沖縄県下最大の地区医師会です。 各種検診事業や在宅医療を展開しており、健診センターや訪問看護ステーションを開設している他、看護専門学校も設立し、地域医療の育成・発展に貢献されてきました。 地域住民の医療・保健・介護・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムを構築されています。 本記事では、以下3名の方にお話を伺いました。


統括本部 山内倫裕 特命課長
企画課 豊見山亜衣 課長
総務課 塩川久美子 課長

導入背景 : とにかく紙が多かった

中部地区医師会様では、4施設で、起案書や申請書など年間2500件近くの稟議書類が処理されています。 全て紙で作成され、捺印がされていました。 さらに、契約関連の起案書であれば見積書や契約書が付随資料として回覧されており、『1枚の稟議あたり4-5枚の補足資料が添付されていた』(山内様)という状況でした。

統括本部 山内倫裕 特命課長

一方で、デジタル化も少しずつ進められており、7年以上前から電子カルテを導入、まずは医療現場からデジタル化を推進していきました。 次の施策として、バックオフィスとなる医療事務においてもデジタル化を進めたいと考えており、紙で行う稟議処理に対する課題感も認識されていました。 紙による課題は大きく3つありました。


1点目は紛失や情報漏洩リスクです。
上記の通り添付書類も多く、出張などで1日不在にすると『机に書類の山ができていた』という状況でした。(山内様)
実際に起きたことは無いですが、紙だと机の上から誰かが勝手に見たり持っていったりすることも可能です。 回覧中に書類紛失の懸念もあります。『契約書の原本をつけることもありますが、紛失を考えると怖い』。(豊見山様)

2点目は稟議処理の課題です。
紙で回覧すると決裁状況も見えず、承認も自分のタイミングで行いにくい点がまずありました。 また、複数施設をまたいだ回覧の場合などにタイムラグが大きくなるという点もありました。 契約関係の稟議などは期日があるので、大変なご苦労があったそうです。期日までに承認を得るために『回覧の順番に走って承認者を探しに行ったり、内線をかけたりしていました』というお話もありました。(豊見山様) また、課をまたいで決裁をとりたい場合なども決裁者が曖昧で、ルールが決まっていない点も課題でした。

3点目は稟議処理後です。
処理が終わった書類の保管や、探す手間がかかっていました。 過去の稟議自体の履歴もないため、差し戻された理由なども記録されていませんでした。

そのような中で、鹿児島銀行様からの紹介でMediboardを認識されました。 金融機関など稟議が多い業種で使われているツールは他にもありますが、Mediboardは医療機関向けに開発されており、その点が決め手となりました。 医療材料の購買管理機能や、医療機関や介護施設にも必須な契約・資産管理機能などを備えている点も将来性を感じられたとのことです。

導入施策 : ペーパレスを見据えて、Mediboardのお伺い書機能を導入

中部地区医師会様では、4施設で、起案書や申請書など年間2500件近くの稟議書類が処理されています。 全て紙で作成され、捺印がされていました。 さらに、契約関連の起案書であれば見積書や契約書が付随資料として回覧されており、『1枚の稟議あたり4-5枚の補足資料が添付されていた』(山内様)という状況でした。

総務課 塩川久美子 課長(左)
企画課 豊見山亜衣 課長(右)

中部地区医師会様はMediboardを導入され、主要機能の1つである「お伺い書機能」の活用に着手されました。お伺い書機能は、稟議書をデジタルワークフロー化する機能です。多様な書式の書類が簡単に作成できる点と、自在に承認経路を設定できる点が特徴です。ファイルの添付も可能で、契約関連の稟議書であれば、見積書を貼付することもできます。 導入時は、上記の3つの課題を丁寧に説明し、利用目的の周知を関係各署にされました。
その甲斐あって、導入はスムーズに進みました。導入開始から5ヶ月で当初の2倍以上の稟議書がMediboardで処理されるようになりました。

『現場に浸透するまでは時間がかかることを覚悟していました』(豊見山様)とのことですが、システムの初期設定も含めて手間はかかりませんでした。初期設定は鹿児島銀行様の担当者に加えて、サザンウィッシュからのサポートも有効だったというご評価もいただきました。

導入時のポイントとしては、Mediboard導入に合わせて承認経路を明確化することや、不要な業務の洗い出しまで行った点が挙げられました。『誰が決めたのか知らないし、なんでやってるのかわからないけど、ずっとこうやってきたからやってるみたいな業務を全部洗い出して、整備できた』というお話もいただきました。(豊見山様)

日付を決め、その日から紙の書類は返送するよう徹底もされました。『(今後導入する方にアドバイスするとしたら)スタートで紙とデジタルを併用したら、絶対に移行は失敗する、移行の時は思い切っていかないといけない』という点も強調されていました。(山内様)

導入効果 : 8割の書類をペーパレス化。10000枚以上の稟議書と必要書類をデジタルに

年間2500件以上あった稟議書はMediboard利用開始から半年で、すべてペーパレスになる見込みです。さらに添付書類が4-5枚あるため、実際は『その3倍から5倍』の削減効果を山内様は見込んでいます。これは『8割-9割の紙が削減された』ことに等しい効果だと塩川様も話します。そのため、課題の1点目であった情報漏洩リスクは極小化できていると言えます。今までは業者からのお見積りなども回覧用や自分用に印刷しており、用紙とトナー代に対しても相当な削減効果も期待できるとのことです。

2点目の稟議処理における課題も解消されました。承認経路をより明確にすることにも成功し、Mediboardの管理画面から誰まで承認されているか簡単にわかるようになりました。承認経路の整備で、『当事者以外のチェック機能が働くようにもなり、金額の見直しが発生する』(豊見山様)という効果もありました。

その結果、承認までのタイムラグも大幅に削減できました。複数施設をまたぐ場合もあり、今までは起案から最終承認まで最低でも4日はかかっていました。Mediboardの導入で、承認者4人の場合は平均1.7日、7人の場合でも平均3日あれば、8割の起案書が完了するようになりました。

3点目の課題も解消されました。差し戻しや却下の履歴も残るようになりました。意外な効果としては、社員教育に繋がった点をあげられています。履歴が共有されることで、”こういう稟議は通らない”、”こういう書き方はだめなんだ”といった点の周知ができたそうです。例えば、見積書の添付が2社以上なかったら、差し戻すといったルールの徹底ができるようになりました。

今後の方針 : Mediboardを使い倒し、地方の医療事務に光を当てる。その先には、医師会会員へのさらなる貢献を

中部地区医師会様としては、まずはMediboardの活用をより進めていく方針です。お伺い書機能は組織として浸透してきたので、契約・資産管理機能を活用して、医療機器などの契約期日管理などを少しずつ進めています。

『今後は、購買管理機能の活用をしていきたい』と塩川様もお話されています。たとえば一般商店から購入する文具・消耗品類もMediboardに登録ができるため、安い仕入先との取引を徹底できれば、いくつもスーパーを回って安い物を探す必要もなくなるといった効果も得られます。さらに購買管理のデジタル化を進めることで、仮に今後建替え等があっても、購買管理業務の変更を最小限に留められると考えます。

デジタル化を進める背景には、医療現場を裏から支える事務の方々の働く環境改善も目的にあります。デジタル化のような業務改善はやはり主役である医療現場が先行しがちです。そうした改善により利用者が増加するとそれに合わせてバックオフィス業務も増え、事務方は大変となりますが、ここが見落とされることが多いそうです。『事務方の給与や立場を上げるためにも、大げさに言うとバックオフィスの効率化は絶対大事。』と山内様はお話されています。

中部地区医師会様内の効率化の先には、『200施設、600人規模の医師会会員の困りごとの解決にも役立てたい』と話します。豊見山様も、『IT化デジタル化が進んでいないところに提案していくのも医師会の仕事の一つだと思ってる。県も国もペーパレス化を進めている。コロナでそれがさらに進んだ。だからデジタル環境が整ってない病院に提案や案内もしていきたい。』という点を強調されています。

足元からの変革を着実に積み重ねながら、その成果を沖縄の中部地区の医療全体に波及させることを進めていこうとされています。

※所属・肩書きを含む本事例の内容は2023年4月時点のものです。

執筆担当 : 株式会社サザンウィッシュ 営業担当 谷口藍子